ぎゅ、と抱きしめてみる。
貴方の存在が、その暖かさが。
身体を温めて、そして…それを実感する私の存在を確固たるものにしてくれる。
苦しいから離せ、と途端に不機嫌になる横顔に安心するの。
貴方が居なくては、私は私の存在の証明さえできない。
だからずっと、抱きしめさせて。
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穏やかな薄紅色が雲を創る。
見上げた先に、散る花弁。
ひら、ひら、と。
込み上げる感情を堪えようと、視線を下げた。
積み重なって大地に伏す花弁と目が合った。
感情のリミットが外れる音がした。
雲のない宙から、雫がヒトツ。
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窓から差し込む光。目を刺す光。
眩惑された。目が痛い。
包まった毛布ごと転がってそれから逃れた。
今は光より闇が愛しい。
降ろした瞼の裏、それでも明るい。深く嘆息した。
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…コイツ。
そろそろ本気でキレそうになった堪忍袋の尾が痙攣している。
何度も怒鳴りそうになりながら辛うじて口を閉ざす、を繰り返して早1時間経過。
遅々として進まぬ前を車に向けて腹立たしげに舌打った。
隣のシート、微かな寝息。
………いい加減、起きろ。
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どきどき。
…と、胸を高鳴らせているらしい女生徒と対面している俺はやけに冷静だったりする。
可愛いピンクの便箋を、皺が付く程に抱きしめてやや俯き加減の頬を便箋と同じ色に染めて。
こくん、と小さく喉を鳴らし、意を決したように顔を上げた。
勢いで両腕、すなわちその手の便箋を俺に押し付ける。
「これ…結城センパイに渡してくださいっ!」
……だからモテル男の友達なんてイヤなんだ。
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